○「向井と一緒なら(鍋パーティに行っても)いいぞ」というメールを読んだのであろう。
携帯には鉄火からの返信が来ていた。
駄目だ、仕事したい。どちらかというと逃げたい。
>>情けねえなw何が仕事だよw
鉄火メール
「向井から(凹が来るって)チョクで聞いたから(笑)。3人で食べようよ。もう凹と向井付き合ってんの?」
さすが住人様がた、おまい様方の予想はおおよそ当たっていたようだ。
~向井→俺「遊ぼうよ」
~俺→向井「ゆっくりしたい。無理」
~向井→鉄火「なになに?凹に断られた?よーし」
~鉄火→俺「凹、鍋でもしない?」
~俺→向井「鉄火が鍋しようってんだけど、
向井が来るなら行くって鉄火に言おうと思ってる。」
~俺→鉄火「向井が来るなら行く」
~鉄火「いやもう向井から聞いてるから」
聞いてるって、何をだよ。俺に断られたけど、鉄火の誘いなら俺が来るって事ををか?
いや、疑心暗鬼になっても仕方が無い。二人ともメールの様子からは俺に対しての印象はさほど変わってはいなさそうだ。
鉄火が俺と向井をくっつけたがっている事だけははっきり判る。
俺→鉄火メール
「突き合ってもないし、付き合ってもないわ。」
>>おまwwwシモダジャレは封印しろよwwwww
すぐさま鉄火からのメールが届く
鉄火
「もうさ、付き合っちゃえばいっそ私も楽になんだよ(笑)
あの子いい子だよ?お姉ちゃんが保障するから行っときなって」
保障とはいったい何の事だ鉄火、気に入らないからといってクーリングオフでも出来るというのか?なんの保障だかはっきりさせろよ。
いや指摘すべきはそこではない。
俺
「いっそ楽ってどういうことなん?説明してみてよ」
そう、俺に対して非常にラブリーに接してくる癖に、肝心なところで引いて行く彼女。
俺が鈍感すぎる所為でいまいち彼女の真意が読み取れない部分が多かったのは確かだが、
「いっそ楽になんだよ」のフレーズからは彼女のもどかしさの様な感情が携帯の画面を通じて伝わってくる。
彼女の言葉に何故か苛立ちを覚えた俺は脊髄反射で先程のようなメールを送ってしまったのだが、今は少し後悔している。
答えが、知りたくないからだ。
>>鍋の水面下でグツグツだな
>>早く食べないとドロドロになっちゃうしね
>>お前うまいなww
どうでもいいダレウマなレスを読み、心が少々落ち着いた矢先、鉄火のメールが届く。
俺は携帯を拾い上げた。
ガチャピンのような眼で小さな画面を読もうとしたが、そこにあるのは文章では無く、一言だけの疑問文だった。
『件名:聞きたいの?』
どうしようというのか。何らかの分岐スイッチが入ってしまったかのような鉄火のミラクルトス。
俺に如何なアタックを求めているのだ。
>>さあもりあがってきたな。さすが凹。
>>俺たちの期待以上のハンドリングだ。
>>あらあら、自然と修羅場?wwwwwwwwwwww
>>ちゃんと聞きたい。はぐらかさずにちゃんと教えてくれって送信だ
それは正論。俺は彼女に返事をすべく軽くミスタッチをしながら携帯メールをカコカコと打ち始める、。
ところがちゃんと教えて欲しい旨を書き終える前に、鉄火からのメールが届いた。メール作成中の画面がバックグラウンドに移動し、鉄火のメールの件名のみが表示された。
『ボコが好きだってこと』
暗いトンネルの一番奥に、針の穴ほどの小さな明かりが見える気がする。
俺は、いま人生のバイオリズムのどの辺に位置していると言えるのだろう。
>>・・・・・・・・
>>・・・・・・・・・・
>>・・・
>>テラストレートきたこれ
>>うお、直球。
>>鉄火なら直球でくるでしょ
>>なんせ凹にフラグ折られまくってるからwwwwww
>>しかもこれは告白なわけだが。
>>凹は鉄火、向井両方に返事をしなきゃならないのだが。
>>そしてこの後3人鍋なんだが・・・おまえどーすんの?
>>まずは返事だ。
>>「俺もだ。だから向井のことは・・・」と送ると√確定なのにな・・・ww
もう駄目だ。いきなりの事でどうしたいのかも分らない。
タイムカード押して帰宅したい位だ。
>>おまwwwwwwwwwwさっき仕事したいってちょwww
>>とりあえずこれで仲良く3人でという選択はなくなったぞ。
>>正直ルート選択できないくらい今テンパってるだろうし
>>とりあえず、「自分の気持ちの整理がつかない」位の返信しておけ
>>まあでも実際、向井が凹の事を好きって知りつつ、
>>それでなお好きって言える鉄火の気持ちは結構硬いな。
>>てか凹はいつも決定的な事言われたりしたらそれに対しての返事が送らないのなwwwwwww
そ、そうか。どういう形にしろ、返事くらいはしておかないとな。
おまいさまがたもちゃんと告白の返事くらいはした方がいいぞ。
>>普通するだろwwwバカスwwwwwww
俺→鉄火メール
「本気なのがすごく分かる直球、やっと鉄火の気持ちが分かった。」
「こっちも驚いたけど嬉しい。けど少し時間下さい。ちょっと急転直下でテンパってしまってるんで」
>>GJ!いい感じだ
よし、これでとりあえずは鉄火の気持ちを無下にせず、じっくりと考える時間を住人様方と持てる。
これで勝つる。間違いない。
とりあえず住人様方と作戦会議だ。さあ、俺のGNドライブ達よ。宜しく頼むぜ。
というのも束の間、鉄火のメールが更に届く。
内心浮かれながら、しかし誰も見てないのにクールを装いながら斜に構えて携帯を覗く。
鉄火→俺メール
「いやそうじゃなくて距離が遠いって前に言った意味分かってる?タイミング悪いって言ったじゃん」
>>どうゆうことだ?
>>距離が遠いってのは向井の気持ちを知ってしまったから、鉄火の気持ちが遠いってこと、心の距離
>>タイミングが悪いってのはそのまんま
>>距離ってのは心の距離だったてことか?
>>童貞の俺にはサッパリわからん
>>鉄火のおかげでここまで来たんだ
>>今度は凹が、がんばる番だぞ!
>>引こうとしてる鉄火をどうしたいのかよく考えれ
ああ、言われなくても分かってるつもりさ。
俺自身、彼女の気持ちが見えたと思ったところで肩透かしくらったものだからかなりモヤモヤしてきた所さ。
どちらにせよ、彼女のメールの真意は鍋パーティの前に解決しておかなければなるまい。
土曜出勤は終了だ。俺の時間は俺のために使う。
>>なんだ、会いに行くのか?
>>ガンガレ
>>今すぐ行くのか?ガンバレよ
いや、まずは帰ってガンダム00の録画予約をしてから行くさ。
言ったろ、俺の時間は俺のために使う。
>>どんな状況においても録画の予約は忘れない凹に敬礼