Neetel Inside 文芸新都
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ショートショート集
嫌われ者

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 俺は今日も人の食い残しを食おうとしていた。俺は毎日人の食い残しを食って暮らしているのだ。いろいろな食べ物がある。
 そのためだろうか俺は人からとんでもなく嫌われている。嫌われ者だ。
 どうも俺が嫌われているのは人の食い残しを食っているからではない様に思う。
 俺は別に悪いことをやろうとしているわけではないのだ。確かに迷惑をかけることもある。が、それは生きるためにやらねばならなければいけないことなのだ。迷惑をかけたくてやっているわけではない。
 行動が嫌というならばまだ我慢できる。だが、しかし連中は俺の存在がいやなのだ。ひどい、ひどすぎる。生きることさえ許してくれないのだ。なぜ生きさせてくれない。あまりにもひどい。ひどいとは思わないだろうか。俺にも生きる権利ぐらいあってしかるべきだろう。
 また感傷に浸ってしまった。こんなことを考えても何にもならない。早く食い物を確保せねば。
 俺は食い物を探しに出かけた。

 食い物は大量にあった。まったく人は大量の食べ物を無駄にしているものである。俺は食事を始めた。なかなかうまい。
 が、しかし今日の俺は運がなかった。なぜかは分からないが一度ここから去った人間がまたここに戻ってきたのである。
 その人間は俺の存在に気づき悲鳴を上げた。そして机の上の新聞紙を手に取った。俺は必死に逃げる。が、結果は見えている。俺はやがて追い込まれた。
 人間が丸めた新聞紙を振り下ろす。俺は自分がゴキブリに生まれてきたことを本当に後悔した。もちろん人間に生まれたかったという贅沢は言わない。人間に好かれている犬や猫に生まれたかったなどという贅沢も言わない。せめて人間から嫌われていない生き物に生まれたかった。
 これまでにない激痛が走り、意識は遠のいていった‥‥。

       

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