Neetel Inside 文芸新都
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ショートショート集
誕生

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今からはるか昔の時代、地球にはたくさんの神がいた。
例えば海の神、空の神、地の神、山の神等などである。
それらの神を作った全知全能の神はしばらくしてから、
神たちの様子を見に来た。すると神たちはろくに働かず、
怠けていた。その様子を見た全知全能の神はこう叱った。
『なんだ。お前たちろくに働きもせず。しかし私が
監督するのも大変だ。どうすれば…。』
神はしばらく考え込んでこう叫んだ。
『そうだ。この地球で一番知能指数が高い人間どもに
貴様らを評価させればいいんだ。5年続けて点数が低い
神は消して新しい神を作る。いい考えだろう。』
神たちにとってはいい迷惑である。必死に説得を試みた。
しかし全知全能の神は言うことを聞かなかった。
そして人間たちに向かってこう呼びかけた。
『おい。人間ども。今日から毎年この日に、お前たちに
神の働きを評価させてやる。心の中で働きが良いか
悪いか普通か判断しろ。分かったな。』
この声を聞いた人間たちの中には本当だろうかと
疑うものもいたが何しろ皆に聞こえているのである。
それに当時は迷信深かった。一年後皆は心の中で
神々への評価を下した。そして神は結果をまとめ、
神々へ結果を告げ始めた。落胆する神もいたし、
無表情の神もいたし、喜ぶ神もいた。結果発表を
終わったとき働きが悪いと評価された神が言った。
『あの神様。私の働きを人間たちにPRすることは
ダメでしょうか。』
『なるほど。なるほど。やってもいいぞ。しかし
、脅すような事はダメだぞ。』
『もちろん分かってますよ。』
『ではわしは帰る。頑張って働くんだぞ。』
そう言って全知全能の神は帰っていった。


それから百年の月日が経った。全知全能の神は、
様子を見に来た。そこで見たのは過労死寸前の神々。
全知全能の神は思わずつぶやいた。
『いったいなにがあったというのだ。』
全知全能の神の姿を見た神は仲間の神々と一緒に
助けを求めた。
『助けてくださいよ神様。あいつら人間とは
思えない。』
なにが起こっていたかわからない全知全能の神は尋ねた。
『いったいなにが起こったのだ。』
神々の話を要約するとこのような話だった。
人間たちは神々にノルマを課し、それ以下になると悪い
神と評価するようになったと。ノルマを達成した
場合でもPRのときに愛想よく人間のご機嫌取りを
しないと悪いと評価される場合もあると。また
人間たちは何も悪いことをしていなくても脅しの
ために2,3年続けて悪い評価を下すこともあったと。
その話を聞いた、全知全能の神は、
『なんということだ。もうこの制度はおしまいだ。それと
お前たちは疲れただろうからしばらく休ませてやる。』
と告げ別の神々を呼び寄せた。そして人間を更正させる
方法はないかと考え込み、しばらくしてからこう叫んだ。
『そうだ。あれを誕生させればいいんだ。』
そして全知全能の神はそれを誕生させ、こう命じた。
『おいお前。しっかり職務を全うするんだぞ。』
それはこう答えた。
『もちろん分かっておりますとも。』
それから悪魔は毎日全力で頑張っている。 




       

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