Neetel Inside 文芸新都
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ショートショート集
ゴミ

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地球のはるかかなたにあるゲル星では各国の指導者たちが会議をしていた。
『まったく、あのゴミはどうにかならんのかね。』
『あれを消すためにいろいろと努力しましたがまだダメなようです。』
『全くあれは害にもならん代わりにほとんど役に立たんから困る。』
あれとは睡眠中にゲル星人の口から出てくるものである。古代にはありがたがれて
いたようだが人口が爆発し続けている現代社会には無用の長物だ。無論そこら辺の
宇宙空間に放り出すとかいったことは数十年も前から考えられていたがやれ宇宙船に
ぶつかるだの衛星にぶつかるだので実施されなかった。一人のゲル星人が入ってきた。
『第175埋め立て所があと2年で満杯になるという予測が出ました。』
『なんということだあそこはわが惑星最大の埋め立て所ではないか。こうなったら手段
など選べない。』
他の指導者たちも同じ意見のようだったがなにぶん近くに放り出すとメディアが黙って
いない。いろいろと批判をするに違いない。皆黙っていたがある国の指導者が口を
開いた。
『わが国の科学者があれを一瞬にしてワープさせる装置を開発した。』他の国の指導者は
驚いた。
『なぜそれを言わなかったんです。』
『いやまだ研究途中らしい。といっても飛ばせないというわけではないのだがね。』
『どういうことです。』
『方向と距離がうまく定まらんのだ。角度は90度距離は1~2割ほどね。』
『かまいませんよどうせ異星人などいない。』
居るかどうかも分からない異星人よりも自分や家族、友人のほうが大切なのは
当然といえよう。結局ゴミをワープさせることは決定された。ワープさせる距離は
ゲル星人が観測できる地点の数百倍なので良心がとがめることもない。直ちに
ゲル星中の埋立地からゴミが集められ数十個にわけられた。そして無事ワープ
は成功した。住民から歓喜の声が漏れる。
『やったついにあれがなくなった。』
そして定期的にゴミをその方面にワープさせることも決まった。
その頃地球では会社を失業したばかりの青年がつぶやいていた。
『全く世の中景気が悪すぎる。景気のいい話はないのか。例えば空からダイヤが降ってくるとか。』
空を見上げるとお望みどおりゲル星人が送った数十個の巨大なダイヤの塊が…。

       

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