Neetel Inside 文芸新都
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ショートショート集

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ある天文台が宇宙の果てに壁を発見した。延々と続く白い壁。それは大きな話題となった。
なぜあんなところに壁があるのか。人々の興味をそそったからだ。しかしそれはそのときは
まだ問題にならなかった。なぜならばそこにたどり着くのは相当先のことだと思われたからだ。
しかし時は過ぎ相当な時間が流れた。人類はついに壁にたどり着いた。調査が行われた。
その結果壁の外にも宇宙が続いていることが分かった。そうすると壁を壊せという意見が
出てきた。壁の外にも宇宙があるということは星もあるし、資源もあるのだ。このままでは
資源が取れないし移住もできない。そこで壁を壊したらどのような影響が出るかという
シミュレーションが行われた。それによると壁を破壊しても宇宙が崩壊するような
ことはないということだった。また破片の影響も地球から遠くはされているのでほとんどない。
結局壁に向かって核ミサイルが発射されることになった。壁の厚さはそれほどでもない。
核ミサイルによって十分破壊できる。結局核ミサイルによって壁は無事に破壊された。
その穴をどんどん広げていく。シミュレーションどおりうまくいった。そしてその穴をとおり
調査船が送られることになった。

数ヵ月後その調査船の船員たちが調査のために降り立った星で全員死亡した。原因は病死。
しかし何の病かは分からなかった。彼らの様子を見た限りでは突然高熱が出て数日後に
死亡する。さまざま病気が疑われたが特定するにはいたらなかった。そのため全身防護服
の医療班が送られた。その結果この病気は新種のウイルスによって起こされる病気だと
いうことが分かった。すぐさま医療班は最寄りの植民地せいにもどり治療法の発見が
試みられた。そんな時医療班の一人が死亡した。防護服の消毒が完全ではなかったのだ。
新種のウイルスの耐性はとても強い。また繁殖性も強かったようだ。すぐさまその植民地星
にその病気は広がった。政府はすぐに患者の隔離政策を進めた。しかし宇宙の中で人やものが
すばやく動き回っている時代だ。他の惑星への感染を止めるのは難しかった。何しろこの病気は
検査をしてもなかなか分からない病気なのだ。それに潜伏期間が1週間ほどある。完全に
惑星間の流通を止めることは経済の崩壊につながる。その決断を下すことは政府にはできなかった。
結局病気は全惑星に広まった。治療法は見つからなかった。ウイルスを殺すために人類はいろいろと
手を尽くした。しかしそのたびにウイルスは強くなっていくのだ。ついに住民が全滅する
惑星も現れた。やがて人類は絶滅するだろう。

なぜ人類は誰一人としてこう考えなかったのだろうか。
あの壁は神が人類を護るために作ってくれたのだと。

       

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