Neetel Inside 文芸新都
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ショートショート集
違和感

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俺は目覚めた。ひどい二日酔いだ。足元がおぼつかず立っていることすらままならない。
それに頭ががんがん痛い。視界もはっきりしない。ここまでひどいのは初めてだ。
俺は思わず床に横たわった。ベッドまで戻るのもいやなぐらい無気力なのだ。
寝ようとしたがなかなか眠れない。だが起き上がる気にもなれない。
そのため目をつぶって横になった。少しは楽になるだろうか。それにしても酷い。
前に医者が酒の飲みすぎはよくないからほどほどにといっていたな。酒は肝臓に
悪いらしいしこれからはほどほどにするか。俺も年なんだし。しばらくすると
だんだん楽になってきた。頭の痛みもなくなってきた。視界もはっきりしてきた。
だが起き上がる気にはならなかった。休日なのだからごろごろしていよう。
だんだんいい気分になってきた。いい気持ちだ。なのでずっとごろごろしていた。
しばらくしてからふと時計をみるとお気に入りの番組が始まる時間だった。ずっと
このままでいたい気もあったがあの番組は面白いのだ。起き上がってテレビが
あるリビングまで行こうとした。そしてドアノブを開けようとした。しかし開けられ
なかった。いや正確にはドアノブがつかめなかったのだ。俺の手とドアノブが
当たっているはずなのにすり抜けてしまう。俺はドアをたたいてみた。
するとまたもやすり抜けた。信じられる気持ちでベッドのほうを見るとそこには俺の
体があった。そこで俺はやっと自分が死んだということに気づいた。

       

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