Neetel Inside 文芸新都
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ショートショート集
空恐ろしいこと

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 俺は数年前からずっとおびえて生きている。それはある空恐ろしいことのせいだ。そのせいで俺は毎日苦しみながら生きなければならない。そのせいで俺の人生はめちゃくちゃになってしまった。外に出ることもほとんどなくなったし、恋人とも別れたのだ。どんなことかって?聞いて驚くかもしれない。俺を笑うかもしれない。だが、聞きたいのなら教えてやろう。

 なんとそれは俺にも分からない。ある日突然恐ろしいことが起きると感じたのだ。笑えるだろう。だが、これはおれにとってはとても空恐ろしいことなのだ。だってどんな恐ろしいことが起こるかわからない。こんな恐ろしいことがあるか。死ぬよりも恐ろしい。もし、死ぬことを事前に知っていればいろいろなことができる。諦めもつくだろう。が、俺は何もすることができない。ただ恐ろしいことが起きると分かっているだけなのだから。
根拠がないという人もいる。が頭以前に俺の感覚が恐ろしいことが起きると告げているのだ。何も知らないほうがどれだけましか。何も知らなければ普通に生きていけたのだ。

 俺は最近では恐ろしいことなど本当は何もないのではと思い始めた。がそれを証明する方法はない。それにもしなにも恐ろしいことが起きなくてもそのせいで俺は人生を狂わせてしまったのだ。それだけで十分恐ろしいではないか。ああ恐ろしい。ああ恐ろしい。

       

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