Neetel Inside ニートノベル
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 幼稚園の年長組に上がって少しした頃、年少組の頃からずっと仲の良かった祐ちゃんと仲違いした。
ある日を境に女の子たちは急に四、五人のグループを作り始め、グループでのみ行動するようになり、グループの外の女の子と話すときはお互いよそよそしくなった。
祐ちゃんは自然にその流れに乗り、ゆり組の中で私だけがその流れに乗れなかった。
ゆり組の女の子達にとってその日は、本当の意味での「みんななかよく」からの永遠の決別の日であり、祝福の日であり呪いの日でもあったが、私にとっては何の日でもなかった。
その日から祐ちゃんがふざけて私にのしかかってくることが無くなっただけで、それがどういう意味なのかも分からなかったし気にもしなかった。

 ただ私が困ったことは、いるかごっこをしたいと思ってもあらいぐまごっこをしたいと思っても、「いるかごっこをしよう」「あらいぐまごっこをしよう」と言う相手が居なくなったことだ。
でも私はすぐその問題を克服して、誰の断りも無く突然いるかごっこをはじめ、あらいぐまごっこをはじめるようになった。
祐ちゃんとライオンごっこをする時は、祐ちゃんと居る時だけ私はライオンで、祐ちゃんと別れて家に居るときは普通の私だった。
でもその日から、ライオンごっこをはじめたならば私はずっとライオンで、ライオンとして二足歩行し、ライオンとして箸を使ってご飯を食べ、ライオンとして布団の中で眠った。
そしてライオンに飽きたら誰にも断らず勝手にペンギンなり、ペンギンとしてこたつでみかんを食べたりした。
そんなシンプルで自由な生活が、私はすぐに好きになった。

       

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Neetsha