Neetel Inside ニートノベル
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 一月三日。
特になし。
でも気分がとても良かった。



 一月四日。
ネットで気になる画像を見つけた。
小汚くて狭苦しい部屋で、三人の若い男がエアガンをカメラ側に向けて構えている画像なのだが、こちらから見て右端の男がどう見ても中学二年生の時に転校して岩手に行った同級生の大平君なのだ。
青白い肌と細い目と眼鏡がそっくりだった。
当時の大平君より多少ふくよかだが、そんな相違点が連続性を示しているようで、もう私には大平君にしか見えなかった。
見ていて気持ちの良い画像ではないので、保存はしなかった。
「これ大平君に似てない?」と尋ねる相手も居なかったし、実際に彼が大平君なのかどうか調べる術は悲しいほどに無かった。
でも私はそれが結構、本当に悲しかった。


 一月五日。
人に慣れた野良犬の「ニオブ」が死んでいるのが見つかったらしい、と母から聞いた。
バットで殴り殺されていたらしい、ということも母から聞いた。
私は悲しくなかったけど、きっと蛍子は悲しむだろうな、と考えた。
私は、ベッドに入ってうとうとしかけた時にニオブが媚びるように擦り寄ってくるところをふと思い出して泣いたりはしなかったけど、蛍子はきっと、お風呂で髪を洗っている時にニオブの薄汚い灰色の毛をふと思い出して泣いただろうな、と考えた。
実際にそうしたかどうかは分からないけど。
私は蛍子のメールアドレスも電話番号も知らないから。





       

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