Neetel Inside ニートノベル
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物憂いプロトコル
少女、少年、犬

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 私の地元に、右手の指が六本ある少女がいる。
少女は、右手の小指の横に小さな六本目の指があるという以外、全く普通の小学三年生だった。
だから、普通の小学校に通い、右手にも左手にも五本しか指がない子供たちと一緒に勉強し、指が六本ある右手で給食を食べた。
でも彼女は右手の指が六本あるという以外全く普通の少女だったから、自分の右手に指が六本あるということが非常に気になった。
右手にも左手にも指が五本しかない同級生からからかわれることもあったし、見知らぬ大人から奇異の目で見られることもあった。
そういうのが少女はとても嫌だったし、毎日寝る前に自分の右手の六本目の指のことを考えたし、鋏でそれを切ってしまいたかった。
そして、そういう、自分の右手に六本目の指を与えたような、理不尽な絶対的な力を憎んだ。
更に、そんな理不尽な絶対的な力に憧れた。
少女はまだ「理不尽」という単語は知らなかったけど。

 少女は、野良猫の尻尾を切ってまわるようになった。
普通の鋏では上手く切れなくて猫にひっかかれてしまったから、お母さんの部屋から巨大で強力な裁ち鋏を持ち出して、引きちぎるように切ることにした。
切った尻尾は野良犬に食べさせた。
どうしてそんな事をするようになったかは少女にも分からないが、絶対に少女の右手の六本目の指は無関係ではなかった。

       

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