Neetel Inside 文芸新都
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まらない、うへへ。

「そう言えば」
スイカの種を庭に飛ばし、貴理子が僕に言った。
「高校卒業したらどうすんの?」
「知らん。」
「知らんじゃないでしょう、いつまでも甲斐性なしでいるつもり?」
「親父の仕事手伝う。」
「おじさん今どこにいるんだっけ?」
「アフリカのウンガガっていう国で砂漠に森を作るとか言って消えた。」
「ウンガガ・・・・?ウガンダのこと?」
「そうなのか?」
「あきれた。」
貴理子は私の顔をじっと見る。チューペットをすする私は、それに気づかない。空を眺める。青いそら、白い雲。山の向こうから鳥が飛んでいく、鳶だろうか?
「おじさん追っかけて、アフリカまで行くの?」
「めんどくさそうだから、やめておく。」
「じゃあどうすんのさ?」
「都会へ―」
「駄目」
「うん?」
「都会は駄目、行っちゃ駄目。」
貴理子は急に涙声。驚いて貴理子の顔を見る。涙が浮かんでいる。何だそりゃ?
「だって俺まだ都会へ行くなんて言っとらん。」
「へ?」
「都会へは行かない、と、言おうとした。」
「そうなの?」
急に声が明るくなる。感情の起伏が激しい、こういう女は手がかかるので、彼女にはしない方が良い、と、テレビでやっていたような気がする。

       

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