「出来ました」
ざわり、と教室が沸いた。
レベルはどこぞの数学大会のようなものだ。
僕は慌ててフォローを飛ばした。
「せ、先生! 僕もそれと同じ問題を見たことがあります」
教室で唯一の男子生徒。
僕の一言が教室を静寂に戻した。
「そ、そうだったの? この問題は市販のテキストだから知ってる人がいてもおかしくなかったかもね」
同様の色は隠せていない美女教師が、目を白黒させながら渡りに船という感じで威厳を保守した。
キーンコーン……。
話しがこじれる前にチャイムに救われた数学教師はいそいそと教室を後にした。
僕はナミの方へ向かって行って、言った。
「ナミ、だめだよ……俺の方ばっかり見て居たら」
「どうして?」
子供のような目で僕を見上げるナミ。だめだ、勝てそうにない。