「――ハイッ」
それをいとも簡単に受けているあいつらはやはり人間じゃない。
「僕の想像が生み出した怪物か……?」
トスを大きく上げたのは巨体の一人だった。体育館天井すれすれの特大トスだ。
「え?」
次の瞬間は誰もが目を疑った。
巨体の一人が小さい少女を腕の上に乗せている。
小さい少女が巨体の屈伸運動に合わせて飛んだ。それも1mや2mじゃない。4mは飛んでいる。
タクヤは本能的に後ずさりする。
「ヤアアァァ!」
空中で少女が取った行動は両手をアンダーパスのように作ってボールを一気に叩き堕とすことだった。
頭が一回転するほどの力運動は垂直に落ちる威力と相乗効果でただのスパイクより格段に速い!
まずい! と思ったが後ずさりしたことが災いし、間に合いそうにない。
センターを充分に狙える入射角度から柊を狙ったボールは柊の頭上を狙って落ちている。
「くっ――」
ダムッというむごい音と共に柊はその場に倒れた。
「柊さん!」
「タクヤ君、ボール!」
浮いた。しかし、それはどう考えても真っ当に浮かしたものじゃない。
だいたい、なんでこんなことになっているんだ? 僕のイマジンクリエイトでどうとでも出来るんじゃないのか?!
「アアアアアア!」
僕は全身の力を込めてボールへ飛びついた。
「高い……!」
卑怯かもしれないが、丁度着地を追えた小さい少女に向かってタクヤはスパイクするしかない。
それしか考えられない。巨体を敵に回したって荷が重すぎる。案の定その子を守るために先ほど殴られた少女が前へ出る。
しかし、体勢不十分のでスパイクを受け損ね、少女は横へ身を引きながら倒れた。
「1-2!」
体育館が沈黙と静寂に包まれた。
「おおぉぉぉぉぉ――――」
クラスメイトが沸く。だが、タクヤはすぐに柊さんへ駆け寄った。