Neetel Inside 文芸新都
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 少女はタクヤの腕を振り解いて何処かへ行こうとする。
「待て、何処に行くんだ」
 千鳥足のせいか、すぐに捉まる。
 そこで少女は再び意識を失い、タクヤに身を委ねた。

「――ここは……?」
 少女は気がつくとベッドから起き上がる。
 一瞬目が悪くなったのかと思ったが、どうやら違うらしい。
 真っ暗なのだ。
「気がついたか?」
 暗闇から男の声がして、小さな明かりが灯る。
「あ、あの……」
 自分の服が取り替えられていることに気がついた少女は赤面した。

「ごめん、勝手に替えさせてもらったよ」
 タクヤはこの部屋にあったタンスの服を勝手に使ったが、
 あんな服を着せたままにするよりはましだと思った。
 部屋の隅にライトを向ける。
 置かれた服は、黒い血の跡で濡れていた。
 少女自身の外傷は何処にも見当たらないのだが……。

「こんなこと聞くのも気が引けるけど、あの血は一体なんだ?」
「――アレを知らないの?」
「……?」
 その時、不意に部屋全体が揺れるような衝撃が響いた。
『ガガガ――麗未、そこを早く離れるんだ。
 次元置換装置の干渉誤差(パラドックス)が酷い。もう次はないぞ』
 突如外から響く轟音と、亜夕花の声がした。

「親父? 親父なのか!」
『その声はタクヤか? なるほどな、だが今は時間がない! 急いでそこから離れてくれ』
 それだけを言い残して麗未という少女から聞こえていた声は消えた。
「ついてきてっ」
 麗未は華奢な手でタクヤの手を捉えると走り出す。
 一体どこにそんな力があるのか、タクヤは有無を言わさず部屋の外へ連れ出された。

「ら、ライトが!」
 タクヤは思わずライトを落とした。
「想像創造(イマジンクリエイト)――」
 が、麗未の手にライトが握られる。

       

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