「え? ええ?」
ライトが二つになったのを確認する間もなく、一階のエントランスへと来た。
タクヤが入ったときと同じく、部屋の窓は防災装置によって閉ざされ、暗闇となっている。
がちゃがちゃ。
「え? 開かないの?」
「ああ、何か防災装置が誤作動してるみたいで」
再び大きな揺れが建物を揺らした。
「っゃ、そ、想像創造――えっとぉ……」
閉ざされた扉の前で麗未は何か考えているようだ。
「そうだ、ダイナマイト!」
「だいなまいと?」
麗未は何かを扉に仕掛けると、タクヤを引いて柱の影に引き寄せた。
「早く早く!」
――ヂュドォォォオン!
「え゛え゛ぇ゛?」
外に出られたのはいいが、一体僕は何をしに来たのだろうと思わざるを得ない。
ほどなくして、二人が外へ出るのと同時に、屋敷は倒壊していく。
大きな地響きを伴い、そこは完全に瓦礫の山と化した。
それが爆発の影響なのか、揺れの影響なのかはわからない。
「早くっ」
今度は腕を引く麗未の姿がはっきりと見えた。
「お、おう」
やばい、スカートが裏返しだ……。
タクヤは現実から目を背けるように辺りを見回しながら走っていく。
「なんだこれは!」
そこにはタクヤの知る御剣市はなかった。
あらゆる建物は倒壊し、煤を吐いている。
道路にはコンクリートの瓦礫やら、横倒しになった車が放置されていた。
あの数時間の間に一体なにがあったんだ?
「はぁはぁ……」
現実味が徐々に薄れていく。
おかしくなった御剣市はさらに滅茶苦茶になってしまった。
「鈴音、ナミ、綾女……」
彼女達は無事だろうか?
全ては後の祭りだった。