Neetel Inside 文芸新都
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 無機質な声がただ空間に響き渡る。
 煙が晴れてきたそこには、懐かしい二人の姿が見えた。
「何故……」
 鈴音と綾女は肩の骨が外れたようにだらりと両腕を下げて項垂れていた。
 その尋常ならざる気配は、タクヤに危機感をもたらすのに充分だ。
「亜夕花っ! 出してくれ!」
「――、――――」
 分厚い透明な壁は全くびくともしなかった。
 亜夕花も壁を叩いているが、何を言っているのか聞き取れない。
「くそっ」
 振り返ると二人の姿に異変が起きているのがわかる。
「なん……だと……」
 タクヤは思わず嘔吐した。
 彼女達は内側からめくれ返るように破裂したのだ。
 否、それは破壊ではなく、進化だった。
 ボコ、ボコボコココ……。
 ピンク色の頭皮が剥き出て、腕や脚であったものは腹から生えている。

 以前の五倍にはなったその巨体はどれだけ細胞分裂を繰り返そうとも到底考えられない大きさであった。
「は、――っは」
 タクヤの目は大きく見開かれ、舌は干上がり声があがらない。
【グェ……】
 ぼちゃりとその口から落ちたのはかつて美少女であったモノのパーツだった。
 ごろりと此方を向いたその顔には光りの宿らない瞳が上を向いていた。
「いっ――」
 その声に気づいた肉塊は何処が顔だかわからない頭をタクヤに向ける。
【×ョグrgk――】
 地面を蹴った瞬間、空間が爆ぜるように振動した。

 



       

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