Neetel Inside 文芸新都
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「タクヤ、その薬を飲むんだ」
 プレートクローシュを差し出す亜夕花にタクヤは狼狽する。
「何故だ、飲むのなら麗未のほうが適任じゃないのか」
 首を横に振り、
「さっきも言ったように麗未の想像力だけでは足りない」
 ぐおん、と施設がまたも揺れる。もしかしたら、時間がないのかもしれない。
「なあ、このままだとどれくらいなんだ。この世界は」
 タクヤはカプセル錠剤を見つめて不意に言った。
「二、三日だな。いいか、タクヤが創造した美少女限定のこの街は今まさに均衡を崩壊させつつある。
 あんな化け物が美少女のはずがないしな。
 しかし、崩壊というのは崩れるのではなく『無くなる』んだ」

 阻止するには、今一度、創造の力に頼るしかないという。
「でも、俺がこれを飲んだことで何が変わるんだ?」

「はぁ、とことんヘタレになったな。我が愚息よ。変わるのはこの崩壊した世界だ。
 もうそれしか手段はないんだ」
 タクヤは無理矢理に手を取らされて錠剤を握る。
「いいか、これからナミのメインシステムとお前達の脳を直接続する。
 想像創造に確実性を持たせるにはナミの知識が必要不可欠だからだ」

 ――イマジンコントロールシステム作動…………。
 タクヤは意を決してそれを呑み込んだ。
 麗未が天井から降りてきたカプセルに身を投じる。
「親父、一つ教えてくれ」
「なんだ?」
「なんで、あの屋敷に麗未が来たんだ」
 わざわざ身を危険に晒してまで、あの屋敷に向かった理由。
 そこで時間超越をさせるほどのメリットのある事。
「――奥川優奈を覚えているか」
「?」
 疑問も解けぬままにタクヤの眼前が両脇から閉じられる。


 目映い光りがタクヤを包む頃、ああ――とタクヤの脳裏を掠める姿があった。
「たーくや」
 その声はまだあどけない、子供のものだった。
 そして、タクヤはその少女に対しての感慨はなかった。
「私、大きくなったらタクヤのお嫁さんになりたい」
「やだ」

       

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