「んくっ、んく」
ナミは言われるまでもなく飲み始める。
口内は圧迫され、過剰分泌した唾液が胸元へ滑り落ちようと股間へ垂れようとお構いなしに肺胞を全力で酷使し、吸引し続ける。
だらしなく精液を垂れ流しながらも、それでも逃すまいとナミは次々と飲み干していく。
「はぁ、はぁ――」
タクヤは三日前から毎日これを始めた。
最後にナミが尿道に溜まったものを吸い尽くして亀頭の汚れを絡め取る。
「――っ」
一人でやる何十倍もの脱力感と達成感が襲い来る。
「おつかれさまでした。今きれいにしてさしあげます」
ナミは近くのボックスからおしぼりを取ってくると萎えたタクヤのブツを丁寧に柔らかく拭いていく。
「い、いいよ。後は僕が。ナミは早く保存を」
「わかりました」
ナミは部屋を去っていった。貯蔵庫へ向かったのだ。所謂、精子バンクである。
液体窒素で保存された精子は生きたまま何年もストックすることが可能だ。
タクヤの美少女ハラマ計画達成の鍵は精子バンクでもある。
これを毎日、美少女達の月経二週間前に子宮の奥深くへと送り込むのだ。
「さ、明日は学校だ……」
タクヤは寝間着を纏って部屋へ戻った。
ここ最近はナミのおかげか安眠できている。つい一週間ほど前は5キロも痩せるほど不眠に悩まされた。
全てを手に入れたとすれば、残るものは何もない。
この考えを今は何とか抑えるので精一杯なのだ。
世界を無だと妄想して世界が消えることはないのがせめてもの救いで、
タクヤは何度も寝込み、虚無感に襲われた。
そう、実現できない世界などないタクヤにとって、もはや世界は色褪せ始めていたのだった。