Neetel Inside 文芸新都
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「例えば、Aという要素を持った少女が美少女だとしましょう。
 これを所有する少女の数は日本だけで言えばx人だったとします。
 ところが、タクヤがAとBという要素を持った少女を美少女だと考えるならば、
 その少女の数はy人となるわけです。この誤差によって、美少女本来の絶対数に異変をきたします。
 結果としてイレギュラー、人間外のものが出現する可能性があるということです」
「解決案は――」
「解決案は四通りになります」
「話してくれ」
「一つは70万人の美少女を諦め、元の男性を戻すことです。
 戻すだけになりますから人間外の美少女は消えませんが、問題なく今までの日常に戻れるでしょう」
「二つめはイマジンクリエイトを有効に使い、
 美少女を手当たり次第に誘拐……よく言えば捕まえて社会から隔離してしまうこと」
「……」

「三つめは能力者(イレギュラー)を探し出して殺すこと。
 そうすれば、結果的に世の中の混乱を招くことはありません」
「ちょ……」
「四つめは能力者を『排除(クリア)』することです。もちろん、
 現実世界から切り離すだけですからこちらは殺しはしません。
 ここの研究施設で子作りなり従僕になり励まさせればいいでしょう」
「他に良い案はないかな」
「今のところはありません、しかしまずはこの御剣市を隔離、
 世界の認識から何かどうでもいいものに置き換えなければ、
 ここで不可解な事件が多発することを世界が黙って見ていません」
「そうだな。俺のイマジンクリエイトは置き換えることに関しては無敵だもんな」
「はい、そして必ずタクヤ様の野望は完遂できます。どうかそれまでは私をどこまでもお付き合いさせて下さい」
 ナミはスカートをつまんで、タクヤに恭しく頭を下げた。

 そして御剣市は次の日からニュース、地図、人々の認識・事実から置き換えられた。
 今そこは巨大な湖となっている。無論、それが私たちが見る御剣市の姿だ。
 人口110万人の都市はこうして、人々の認識から排除(クリア)されたのである。
 それに変わる御剣市の認識はどこへ行ったのか――? その答えは、何れ解ることである。

       

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