「なに、これ……」
少女の内股から流れる一筋の朱。少女が破瓜を散らしたことを物語っていた。
「気がついたか? お前も何かの能力者だったんだろうが、その状態でまともに戦えるのなら相手になろう」
理解が追いつかないのか、少女は唖然とした様子で秘部から流れ出るものを見ていた。
ようやく『それ』に理解が至った頃に少女は壊れた。
「やだっ――、やだやだやだッ」
「おいおい、ただ挿れただけだぞ?」
僕はもう顔が緩みきっていた。戦うより先に相手の心を折ってしまったが、どうでもいい。
このまま中で果ててしまおう。そう思った時だ。
――少女はその両手のナイフを高々と掲げた。
「あああああぁぁぁ――」
『! 空間転移解除』
さくっという音がしたのはスカートとパンツのゴムが切れた音だろう。
少女は何の迷いも躊躇いもなく、自身の下腹部にナイフを突き立てた。
ナイフの先は少女の下半身を深く突き刺し、全てを赤く染め上げていった。
「は、はははっ――。畜生、ちくしょう……」
おおよそ、女の子が使うような言葉ではないが、今の心境はまさにその一言しかないのだろう。
まともに戦えば少女にまだ分があったに違いない。
邂逅した途端に破瓜を散らされるなど、誰が想像しただろう。
大粒の涙を流し続けながら何度も同じ言葉を繰り返し続け、少女は最後まで僕を睨み続けていた。
「……」
しゃりと崩れ落ちた体はもはや性欲の対象などではない。
僕は少女の武装を解除していき、その体を背中に乗せる。
ナミがそっと立ち上がったのを目尻に見た。
「もう大丈夫なのか」
「はい、足りない部分はこちらで解析し成分を粒子化合しました。異常ありません」
そっとタクヤの後ろへ移動するナミはその違和感に気づく。本来なら見捨てるはずの少女を運んでいるのだ。
ナミはタクヤの後ろで一人、顔を曇らせた。
「学校は休みだ。こいつを治療する」
「……わかりました」
路地の影で二人を見送る影があった。
朝陽鈴音と柊みつきはイマジンクリエイトの力に影響されず、三人の行く末を見ていた。