Neetel Inside 文芸新都
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 彼女は副生徒会長の朝陽鈴音さん。
 後輩で今時珍しい金髪のハーフだがリアルでツンデレいってるあたりはまじで引く。
 正直真性ツンデレなんて物語のだけの存在だ。
 もし、それが現実世界で存在するとしたらそいつは猫かぶりか、人を人と思っていない。
「聞いてます? タクヤ先輩」
「ああ、ちゃんと聞いてるよ。僕の会計予算案が合わないんだったね」
 会計委員はタバコ現行犯で現在停学中だ。復学するまでは僕が会計をすることになっている。
 マジで謎だ。そんな気持ちから巧みに2000円くらい各予算からさっ引いてみたが往々にして見落とすと思ってた僕は甘かったらしい。
「こことこことここだ。書き直そうか?」
「……え?」

 生徒会室では朝陽さんが豆くらうハトと化していた。それもそのはずだ。
 予算案をいじったのは実は僕で、問題のそれを瞬時に言ってしまったんだから。
「なにいって――。ちゃんと確認してください」
 僕は貴重な二年生とのコンタクトを失うわけにはいかない。内心しぶしぶと外見は爽やかに頷く。
 価値ある美少女は同じ学舎にいるのかもしれないのだから。
「わかったよ。ちゃんとやることやって出るから朝陽さんはもう教室に戻るといいよ」
 正直こういうのは面倒臭い。生徒会長とは往々にして便利なだけではないのだ。
 朝陽さんが退室してから三分。
 そろそろ頃合いを見て出ても良い頃だ。出口に立って戸を引いた。もちろん仕事はこなしたぞ?

「――きゃ」
 ??? 誰かが僕にぶつかってきた。
 合気道をたしなんでいたおかげで誰かは僕の重心を崩すことなく反動で倒れた。
 なんてことはない。ただの美少女だ。脹よかな胸、黒くしなやかな髪。
 ロリータの方々には少々残念かもしれないが、立派な美少女だ。
「すみません、お大事ありませんか?」
 僕の僕的美少女判断基準法は全てに及第点を叩き出していた。
「あ、ありがとうございます。私急いでおりましたもので本当にすみませんでした」
 今時珍しい絶滅危惧種『淑女』だ!

「いえいえ、礼には及びません。どうぞお気遣いなく、気を付けて」
 そういうと僕は踵を返す。教室とは逆方向だが、彼女とも逆方向だ。
 だが、これでいい。第一印象とは短ければ短いほど良い部分も悪い部分も増長される。
 つまり、良い部分だけを残して別れるとその効果は何倍にもなり、印象付けられる。
 外見より中身などと言う人間ほどこの真理を解っていない。
 先ほどの女の子は僕の数少ない美少女帳2ページ目の#3に記載されている少女だ。
 境野満子さんか、今時珍しい……。

       

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