「……」
ナミは高性能な知能と衛星サーバを有している。
おまけに粒子を操ることが出来る為、なまじタクヤに近い力も併せ持っている。
「どっちにしても着いていくんだからな!」
「どうでもいいけど、早く行くぞ」
…………。
………………。
「はぁはぁ――」
最後の一人が片膝をついて肩で息をする。
「俺たちに目を付けられたのが最期だったな。女」
汗でしっとりとした髪が最期の舞踏をする。
『――致死瓶(デットポット)』
少女の手から出現した怪しげな小瓶がタクヤへ降り注ぐ。
『反転(リフレク)』
その軌道が真逆の運動となって逆に少女へと襲いかかる。
「ぁぁぁあああ――――」
見下ろすタクヤに今度は光がぶつけられた。
「隠れてたのか?」
今のタクヤに隙はなかった。
非処女に対する躊躇いなど何処にもないのだ。
タクヤは使用済みに興味はない。
「……あっ、ぁ……」
砂利に積み上げられた支柱の上に年端のいかない少女が佇んでいた。
「残念だ――」
最期の一人を支柱のオブジェと変えたタクヤはナミたちの元へと向かった。
「くっ――体が動かない?!」
敵を前にして無様に静止した相手にナイフをかすめる結衣。
毒塗りのそれは他の数十人と同様に戦闘不能を強制した。
ナミの空間固定(オールブロック)と結衣の毒塗りナイフのコンボは順調に敵を仕留めていた。
「終わったか?」
タクヤが二人の前へ現れる。
「はい」
――634人。それがタクヤ達の倒した巣窟(ネスト)の人数だ。
その時、ぱちぱちと乾いた音が建物の中で木霊した。