Neetel Inside 文芸新都
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「おめえ、その状態で人に意見できる口かよ。気分わりぃな」
 抵抗できない女を抱くのもこいつらにとっては充分だろう。
 しかし、確実にそれは浸透する。玩具のように犯し尽くすことを良しとして一つの条件があがっている。
「お前達だって俺がことを終わらせた後に黙っていてほしいだろ?
 だったら俺の言った奴を倒せ。そうしたら俺はもう一生お前達のものだし、逆らうこともしない」

 揺さぶる。
 逆らわない女に男は弱い。
 くだらないプライドが高い糞みたいな男ほど、この手の女には五割増しで目がない。
「本当か?」
「ああ、俺はそいつを信頼してるし、もしそいつよりお前らが強いなら誓ってお前たちについていく」
「名前を言って見ろ」
「――ナミ」
 一瞬、沈黙が流れる。それもそのはずだ。
 今ここで俺は、否、タクヤという女性は『レズです』という宣言をしたようなものだ。
「ぶっははは! こいつは傑作だ」
「女が増えるだけじゃないっスか! ヤっちゃいましょう!」
 話しは纏まったらしかった。
 早朝に起きた出来事はこいつらのような下級不良生徒の耳には届かなかったらしい。
 俺はこみ上げる笑いを必死に堪えて携帯でナミを呼んだ。
「……」
 一分としないうちにナミが現れる。
「すみません。まさかこんなことになっているとは……」
「いや、いいんだ。どうせ俺がトイレで事に耽っているとか勘違いしてたんだろう……」
「…………」
 ナミは一斉に八人ほどの男達に囲まれる。
 タクヤの目的は達成された。ナミがこの場に来た時点で勝敗は見えている。

「――うっ」
 呆気なく最初の一人が地面に崩れた。誰一人としてナミは捉えられない。
「ぐわはぁ!」
 ナミの体の何倍もある男が膝蹴りで宙を舞う。
 鈍い音が聞こえた後には叫ぶ声、転がる音、
 そういったものが渾然一体となってタクヤに聞こえた頃には全てが終わっていた。

「お待たせしました」
 そう言ってナミがタクヤの姿を直視した時、恐ろしいことにナミは頬を染めた!
「お、おま……」
 視線を逸らすがもう遅い。ナミは、コイツは俺に欲情している!

       

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