Neetel Inside 文芸新都
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「3秒?!」
 訓練が必要なレベルの話しになってきた。
「厳密に言うとアルファ波が出ている数秒間の微妙な数値の値が必要なんじゃ」
 僕は必死にバナナを想像した。ぶっちゃけバナナをまず具現化しないといけない気がしたんだ。
「お」
 手に感触があった。バナナだ。しかし、全く嬉しくはない。
「ここで質問じゃ。そのバナナはどこから発生したか?」
「そんなの知らないよ、ただ強く思ったら出てきたとしか言いようがない」

「ハズレじゃな。例えばこの先お前が某アイドルを手に入れたいとする。
 その時想像して具現化したアイドルは何者かという問いじゃ」
「元のアイドルはどうなるんだ……?」
「もちろん、想像の仕方にもよるじゃろうが、二人存在することになるぞ」
「…………わからない」
「バナナを食ってみろ」
 タクヤは言われた通り、出したバナナをほおばる。
「……?」
「どうじゃ、どんな味がする」
「なんか、不思議な話しだけど。記憶にあるバナナ以上のものではないな」

「そうなんじゃ、お前がこれから具現化することは全部、お前の知識と体験を大きな拠り所として顕現される。
 それはつまり、お前が想像できない部分でその力だけでは働かないこともあるということじゃ」
「ほんっと使えるんだか使えないんだかわかんねー力だな」
「まあ、色々試して見るんじゃな。ワシはもう眠いから行くぞ」
「ああ、ありがとう親父!」

 ここに人類最強にして最悪の人間が誕生した。


       

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