Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      


 それからのことは亜夕花の手腕によってとんとん拍子に収められた。
 リンクポトン社はしばらく代理を立てるという方向と、タクヤには干渉しないという方向でまとまった。
 全ては順調にいったのだ。
 ただ、一つを除いて……。
「ナミと結衣がいない……だと……」
「鈴音は命に別状はないけど、今は話しを聞ける状態じゃないみたい」
「私は誓っていいますけど、あの二人以上の戦力は持ってません」
 鏡華が嘘をついているとは思えない。先ほど服従させたばかりでもある。
「空間隔離を使ったのなら映像にも残らないか」
「それに、こっちでももう一人、みつきという女の子がいたのに、その子もいなくなってる」
 おかしな点だらけではあるが、考えられることは一つだ。
「あいつら二人分、いや、それ以上の力を持った何かが来たんだ」
 でなければ鏡華側の一人まで消える意味がわからない。
 これは確実に第三者の介入であることを意味している。
「ナミの衛星(サテライト)には今アクセスできなくなっているし、
 こいつはヘタをすれば洗脳系の能力者かもしれない」
「クリエイトで強制的に介入することはできないというの?」
「無理だな。ナミの衛星はもともとが俺のイマジンクリエイトの産物なんだ。
 それをいじるに当たっては真っ当な操作方法など存在しないし、
 ましてや解除や除去になればイマジンクリエイトは意味をなさない」
 鏡華も亜夕花もタクヤもお手上げ状態だった。
 どこの誰かは知らないが、俺のものを盗っていくような奴は制裁が必要だ、とタクヤは一人パソコンに向かった。




『五十二件、新着メールがあります』

 件名:Re2XXX年二月

 今日は私のために洋服を買って頂き、ありがとうございます。
 来週、また時間が出来ましたらそちらにお伺い致します。
 といっても、これは千壽様が用意してくださっていますね。
 あなたが求める世界の形は、確かに私が望むものです。
 その為ならば、私は必ずあなたのために尽力いたします。
 ナミより。

       

表紙
Tweet

Neetsha