Neetel Inside 文芸新都
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「ふふっ、私の開発したこれはね。性感を自由に弄ぶものなんだ。
 元は軍用に自白装置として開発したものなんだが、失敗作でね。自白する前に精神が崩壊する」
 鈴音はその大がかりな設置に息を飲む。
 これから何が始まろうというのか、鈴音にとっては亜夕花の一挙一動が暴挙に見えた。
「こ、こんなことしてただで済むと思ってるの? それに私は不変の――」
「いいや、無駄なんだよ」
 そういうと、鈴音の口元に何かがやられた。
「い、な――何よこれ……」
「ただの通電剤。飲まないと無理矢理飲ませることになるから、大人しく飲んだ方が利口だよ」
 やむを得ず、口元に運ばれたどろりとした液体を嚥下する鈴音。
 その瞬間に胃袋の中から猛烈な拒否反応が現れた。
「うっ……」
「これもあの子の為だ。君にはもう過去を諦めてもらわないとならない」
 朦朧とする意識の中で、『あの子』というのが、タクヤに重なる。
 頭の中に木霊する亜夕花の声がいつまでも鳴り響いていた。

「う、うわあああああ!」
 タクヤの絶叫が大気を震わせた。
「はははっ、時の創造(タイムクリエイト)に敵はない!」
 織物で出来た服が乱れながらも、タクヤへの介入に成功を果たした千尋は、
 ついに精神崩壊を起こすところまでタクヤへの時間付与を成した。
「はぁ――はぁ――、しかし、お前の脳内は一体どうなって……
 これほど時間を必要としたのはお前が初めてであったぞ」
「うぐっ……あぁぁぁ――――」
 両膝を折って肩を抱きながら悶え苦しむタクヤの姿にすかさずみつきが攻撃を加える。
 その刹那。ぎゅんっと空間が歪み、みつきの姿とタクヤの姿が揺らいで見えた。
「な、なるほど――どこまでもデタラメな男だ。
 お前は精神が崩壊しても現実を認めない妄想をすれば、それが事実になるのであろう。
 そこまでの力を持っていたとは……ある意味私が勝てたことの方が軌跡であったな」
 冷や汗を米神に浮かべながら千尋はその光景を見守った。
 いずれその考える力も衰えた頃にタクヤはみつきに引導を渡されるであろう。
 後はみつきに任せればいい。これで一安心だと千尋は肩から力を抜いた。

「いや、ほんとにね」
「!?」
 それは一瞬の出来事だった。

       

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