Neetel Inside 文芸新都
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「――え……?」
 タクヤは両腕を抱えられて立たされると無理矢理コートに引っ張り出された。
「お前一人対、うちの学校のバレーボール部先鋭隊だ! 文句あるかァ! あるやつはこいつのコートに入れェ!」
 そういってタクヤを指さすジャージ男。
 誰も関わりたくないのか僕のコートに入ろうとするヤツは一人も……。
「はい」
 いたよ。勘違い馬鹿女郎が。
 その姿は柊みつきだ。
「(助けてもらったお礼よ。多分ボロ負けでしょうけど、うまく負けましょう)」
 なんか、身に染みる言葉だけど……ごめん、あれは僕が起こした事故なんだ。
 心の中で謝っておく。ジャージ男は他にいないかと大声をあげるが、誰もいやしない。
 そりゃそうだ、相手は女子は女子でも無機質詰まりまくった筋肉と肉体を持った怪物と怪物と……あれ。
「おらいくぞォ!」
「び、美少女がイル!」

 ピ――――。

 間違いない、巨体の後ろに目のくりくりとしたちっちゃい子がいた。
 ズバァン!
「1-0だ。なんだおい、お前らちゃんとこいつらが取れるように体狙ってけェ」
「「「はい!」」」
 や、やべえ! イマジンクリエイト。
『僕の体は超人的な肉体能力を有する』
 これは土壇場でのイマジンクリエイトだが、実際どういう能力を有するのか全く理解できない。でも多分大丈夫だ。
「邪気眼こい、邪気眼」
「サッ!」
 宙に舞ったボールが回転しながら落下していく。
 それを追うように巨体の少女がジャンプし、剛腕をボールへ叩きつける。
 ズンという音と共にボールが歪み、一直線に柊さんへ――
「柊?!」
 ほとんど、目で追えないようなボールが柊の顔面に迫るのが見えた。
 邪気眼でもなんでもない、あれはどうやっても鼻血確定の速度だ。
「綺麗な顔に罪はない!」
 僕は腕を伸ばしてボールを払うように打った。

       

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