Neetel Inside 文芸新都
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5-6.ジョグリーはにんじんに掴まりもせずトムの手を振りほどいて落ちた。僕もトムもジージーも声が枯れるまで泣いた。

最後に何か言おうとしたのは何か言おうとしたけど言葉を作る時間が無くて言えなかったのかもしれないけどそんなことはどうでもよくて僕らはにんじんパラダイスで自分なりの冬をエンジョイしなきゃならない。

「お腹すいたね」
「食べ物って豆腐しかないよ」
「どうしよう、僕たちここで餓死するんだろうか」

僕は飛んでいたにんじんを捕まえて食べた。「なんておいしいにんじんなんだ!」
「あっ、ずるいぞ!俺にもよこせよ!」
「嫌だよ」
「もう・・・・・・だめ・・・・だ」
トムはお腹がすいて力を無くしてにんじんから落ちた。
ジージーは僕に豆腐を投げつけてにんじんから飛び降りた。
「あなたと二人っきりになるぐらいなら!」

一人になってしまった。

にんじんはいつの間にか昇るのを止めて山の周囲をぐるぐるまわってる。

僕は300円とライターだけ持って山の頂上に降りた。

頂上には小さな小屋があった。

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