Neetel Inside ニートノベル
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 それから数日間蓮葉とは気まずくて話すら出来なかった。
 図書室? いけるわけないだろう。
 だが、蓮葉は慶介には何もいっていないのだろうか蓮葉とボクの話題は触れてこなかった。それとも気を遣っているのかもしれない。
 もしかすると嫌な意味になるのだが蓮葉はボクを監視しているのかもしれない。この後、ボクがどうでるのか様子を伺っているのかもしれない。
 すぐに図書室へ行って会長と会うのか、蓮葉にあの時のことを説明し誤解を解くのか。
 そう思うとボクは蓮葉の部屋の前まで来てしまっていた。
 チャイムを鳴らそうとする。
「よぉ、待ってた。入れよ」
 先にドアが開きとりあえずお邪魔することになる。
「あれ? 蓮葉一人?」
「あぁ、同じ部屋の奴はどっか泊まりにでもいったんじゃないか?」
 嘘だと思った。
 リビングを見るとギョッとした。
 可愛らしいクマのぬいぐるみ、なにやら得体の知れぬ宇宙人、火を出している配管工事のおじさん。そのすべてがぐしゃぐしゃになっていた。
 たぶん今の蓮葉が恐ろしくて逃げるように出て行ったといったほうが正しい。
 ここまで人は人を狂わせることができるのだろうか。狂わせた張本人はボクだ。
「あのさ、この前のことなんだけど……あれはちょっとした誤解なんだ。あれはボクの記憶障害をなんとかしようとして出かけるはめになっただけなんだよ」
「あんなに楽しそうにか?」
 楽しそうだったのだろうか。笑顔だったのだろうか。
「違う」
 きっぱりと否定した。
「あの人は、会長は! ボクのために!」
「はぁ? 会長?」
 こんなにシリアスな空気なのに素っ頓狂な声を上げる。
「へ? だってこの学園の生徒会長なんでしょ?」
「オマエ、そんな嘘でオレがごまかせられると思ったか? そもそも生徒会長は男だ!」
 そのあと蓮葉はボクに怒鳴りあげていたが話の内容までは耳に入ってこなかった。そしてボクは帰った。頬に赤い手の形を作って。

       

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