Neetel Inside ニートノベル
表紙

〜Pandora Box〜
えと、もっかい言って?

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「オマエさ、彼女とかつくらねえの?」
「!?」
 危ない危ない……もう少しで口に含んだ飲み物を噴き出しそうになってしまった。
「……なにいってんだよ……ボクになんか彼女なんかできるわけ無いだろ?」
 少し鼻に入ったジュースをすすりながら言うのだけど慶介はいたって真面目にこう返してきた。
「いやいや、結構オマエルックスもいいし、メガネもやめて、身長はちょい小さめだけどそれが逆に女子には可愛くてモテるし、女子の人気急上昇かもよ?」
 実際、あの蓮葉がオマエのこと慕ってるからな、と付け加えてきた。
 そうなのか?と蓮葉とボクのやり取りと他の男子とのやり取りを少し比べてみる。

「…………」
 ……あんまり変わらないと思うんだけど……
 それに蓮葉はボクにとって運動ができるから尊敬できるお姉ちゃんみたいな存在だ。
「やっぱりいつもどおりだと思うけど?」

 慶介はこの鈍感男が!!と少し頭を抱えていた。
「あのなぁ……考えてもみろ……蓮葉が他の男子と話す場面をみたことあるか? ないだろ? せいぜいオレと絵軌菜くらいだ。だから比べたって意味無いだろうがっ」
「……そういえばそうだね。なんで蓮葉はあんなに明るいのに全然話さないんだろ? 慶介は何か知ってんの?」

 ボクが質問すると慶介はバツが悪そうな顔をした。
「ん……あぁ、まぁ、な」
「じゃあ、ボクにも教えてくれよ」
「バカ。オレに聞くんじゃなくて蓮葉に聞けよ。……まぁ、アイツが答えてくれるとは鍵らねえがな……」
 まぁ、そんなにルックスがいいんだから彼女を作ることをオススメするぜ、と言い残し去っていった。……台風みたいだな……

「よぉ、会軌菜。ま~た図書室かぁ?」
 放課後、寮にいるのも暇なので図書室へ向かう廊下にバスケットボールを持っている蓮葉と会う。
「ん~暇なもんだからね。適当に本借りて寮に戻るよ」
「そんなに暇だったら1on1で勝負しようぜ?
 へへ、オマエと対戦するのって久しぶりだな」

 ボクの意見など無視で早速空いているコートを見つけ軽いストレッチを済ます。
「いまボクと蓮葉の戦績は?」
「んっと、50戦中48勝2敗だな。もちろん俺が勝ってるほうな」
 そんなに正確に覚えられるなら数学の勉強でもすればいいのにと思うのは野暮かもしれない。
「いくぞ~」
 あまり気乗りしないが勝負は勝負だ。手加減はしない。

「くっ!あ!」
 また抜かれた!
「へっへぇ~。これで55勝だ。60勝になったら俺の言うこと何でも聞けよ?」
「……はぁ……はあ……だったら……ボクが一回でも勝てば言うこと聞いてくれる?」
「息あがってるくせに……いいぜ。一回でも勝てばな」
 そうしてまた勝負が始まる。

 キュッキュ
 シューズの音がうるさいがいまは真剣勝負。耳には入らない。
「!! そこだ!」
 一瞬止まった隙をつきボールへと手を伸ばす。
「ありゃ!?」
 蓮葉はなんなくクリアし、ボクの前を反転しゴールポストへシュートした。
「はい、60勝~。会軌菜の負け~。
 さぁ、俺のいうこと聞いてもらおうかな?」

 ボクはもうくたくただというのに蓮葉は全然平気そうだ。これがいつもスポーツをやっている人とやっていない人の差なのだろうか。
「こほん。え~と、じゃあ…………」
「?」
 おかしい。いつもなら気軽にジュース買って来い(ボクのおごり)とか言うはずなのに今日は考え込んでいる。
「はやくしてよ。もうすぐ図書室がしまっちゃうよ」
「あぁ、わりい。
 ………………じゃあ………………」
 次に蓮葉の口から聞いたのは思いもよらない言葉だった。

「俺と付き合え。会軌菜」

 そういった時ボクの心の中では図書室が閉まっていたことに気づき酷く落胆した。

       

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