Neetel Inside ニートノベル
表紙

〜Pandora Box〜
拉致は犯罪

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 ……まぁそりゃね……
 一応付き合っていることになっていますよ? ボクと蓮葉は……でもね……今日は学校なのに休んでいいのか?
 朝起きてすぐ私服に着替えさせられ拉致と勘違いされるくらいの勢いで蓮葉のバイクに(無免許)乗って来た先は……
「ほらボケボケすんな会軌菜! さっさと次乗ろうぜ!」
 ボクは……遊園地に来ています。楽しいよりも疲れます……
「ちょっ、と…………休憩にしない?」
 開園からお化け屋敷、ゴーカート、3Dシアター、高校生ながらもメリーゴーランドに乗っていましたとも…………えぇ。
 すると蓮葉はつまらなさそうに、
「んだよ。もうダウンか? だっらしねえな~」
 とはいっても9時からだからね? そして今は昼のぉ3時!
 昼飯などもちろん食ってなどいない。食える暇もない!
「だってさ~昼飯も食ってないし……その前に朝飯はおにぎり一個だよ?」
「んなもん楽しけりゃ腹も減らねえよ!」
 ほら次だ!と言って連れてこられたのはあろうことか日本一大きいとしてギネスにも乗った観覧車だった。
「…………ねぇ……これ本当に乗るの?」
「あ? 当たり前だろ? じゃなきゃここ来た意味ないじゃん」
「待つの?」
「うん」
『待ち時間残り二時間』
 しかも待っているのは俗にいうバカップルばかりだ。あんなにベタベタして恥ずかしくないのだろうか。そのバカップルの一員に入ろうというのか蓮葉は?
「待つの?」
「うん」
 つい信じられなくて二度も同じことを聞いてしまう。


2時間後

 立っているだけで足は疲れることを会軌菜は覚えた。
「ふい~やっとこさ乗れたな~」
 どっかりと大きく座る。
「ほら、乗れよ」
「あ、あぁ、そうだね……」
 まるで自分の家と同じようにくつろげるのはすごいな。
 考えるのはやめにして向かい側の席に座ろうとしたら、
「なに向こうに座ろうとしてんだよ。こっちだ。こっち」
 トントンと指差す方向は蓮葉の横。
「え、あぁ、わかった」
 素直に座ろうとした瞬間何か背中には柔らかくて暖かいものがあった。
「え、なにこれ?」
 振り向こうとしたがガッチリ掴まれて動けなかった。
「…………あのね……もう少し場所をわきまえようよ」
「むふふ~もう二人きりだからいいじゃんかよぉ~」
 言い忘れていたのだがボクの身長は166cm蓮葉は186cmと差が開いている。
「あぁ~会軌菜の匂いがする~」
「そりゃあボクなんだからするでしょ」
 それから雑談をしながらだんだんと上へのぼっていくにつれて口数も減ってきた。
「なあ、会軌菜?」
「なに?」
「今日さ、楽しかったか?」
 アゴを乗せながら喋ってくるので少しばかり痛い。
「まぁね。こんなにアトラクションがあるなんて思わなかったわけだしそれなりに楽しかったよ」
「そんなことを聞いてるんじゃなくて……俺といて…………楽し、かったか?」
 振り向かなくてもわかる。声が震えている。
「当たり前だよ。蓮葉がいなきゃ楽しくなかったと思う」
「そっか……ならいいんだ。オマエがそういうなら」
 最後に小さく「ありがとう」と呟いた。
 そのまま蓮葉はどっと疲れが出たのか観覧車の中で眠ってしまった。………………がっしりとボクを掴んだまま。

       

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