Neetel Inside 文芸新都
表紙

みんなでやろうよ
初登校

見開き   最大化      

 第一話 「初登校」
「はぁ、はぁ、はぁーー」
「コラー、将いつまで走ってるの!今日入学式なのよ。早くしたくしなさいよ。」
朝から怒られた。
僕は今日から高校生になる。僕の名前は、新羅将(しんら しょう)。さっきのあれは、妹の眞(まこと)。僕とまこは、双子の兄妹。でも、なぜかいつも僕が怒られる。僕の方がお兄ちゃんなのに・・・。
「ただいまー。シャワー浴びるね」
「お帰り~。さっさと浴びなさいよー。時間無いんだから。」
時間?なぜみんな慌てているんだろう?僕はふと時計を見てこういった。
「何だよー。この時計、狂ってるよ。」       みんなでやろうよ!!

「えっ」
まこが声を出して寄ってきた。
「ほら、僕の電波時計じゃまだ、6時47分だよ。」
みんなの手がいっせいに止まった。
そして僕は、ゆっくりとシャワーを浴びに行った。
それから、3時間がたった。
僕とまこは、学校で入学式の最中だった。
僕は、「長いなー早く終わんないかなー」と心で叫びまくっていた。
すると突然「なーホンマ長くて困るわー。はよ終わらへんかのー。」
僕は、ビクッとした。前から見るからに、ガラの悪そうな長髪の大阪弁をしゃべる男に声をかけられた。
「自分、身長いくつ?」
「え・・156ですけど・・・」
「ずいぶん、ちっこいなー。ちなみに、俺は177や」
いや聞いてないっつうーの。心で突っ込みをかました。
この人と喋っているうちに入学式は終わっていた。
クラスに移動、席に着いたらさっきの長髪の男が隣の列の一番後ろに座った。
しかも、僕のスグ後ろだし。・・・絶対に眼をつけられたー。そう僕は思った。
そのやさきに長髪の男が僕のほうに向かってきた・・・と思ったら僕の前の真面目でおとなしそうな、小説を読んでいる少年に、
「浩介、自分、部活どうすんねん。」
「なんだ、シゲ。その質問になら前答えたはずだぞ。俺は、野球部に入るといったはずだ。」
「なんやー、なんでそんなにピリピリしてんねん。いや確認やか・く・に・ん」
「気持ち悪いからやめろ。」
僕はこの人たちの会話を一部始終聞いていた。
「なんだ、この長髪の人もこの真面目そうな人も僕と同じ部に入ろうとしているんだ。なら」
僕は腹を括って話しかけた。
「あのー・・・」
「あんだ。お前」
「あーさっきのちっこいのやないか。どないしたん?」
「いや、あのー、お二人は野球部に入ろうと思っておられるんですか?」
「ああ、そうやで。おまえさんもか。せやったら、これから仲良うしような。」
この長髪の人いい人だー。
「なんだ、シゲの知り合いか?」
「ああ、さっき知りあったんや。」
なんか、真面目な人の方が怖いような気がしてきた・・・
「俺、佐藤茂樹(さとう しげき)や。これからよろしゅうな。」
「あ、はい。僕は 新羅将です。」
意外と早く友達ができてうれしい。
「はぁー・・・。俺は、坂口浩介(さかぐち こうすけ)。」
この浩介君は僕が嫌いなのかもしれない。
すると、教室の外から僕を呼ぶ声がした。
「将君、将君。」
振り向くとそこには、身長180センチくらいの男が立っていた。
「啓君。一緒のクラスになれなくて、残念だね。」
この背の大きいのは八田啓介(やた けいすけ)君、僕の中学時代の唯一の友達。
「・・自分、ずいぶんデカイナー」
「君も大きいと思うよ」
なんとも、和やかな会話が流れていたが浩介君が突如僕に話しを振った。
「新羅・・だっけ、お前、ポジションどこ希望してんの?」
「え、あ、僕は・・・・・・・ピッチャーかな・・」
「へー、あの、でかいのは?」
「彼もピッチャー。坂口君は、どこ希望なの。」
「浩介で良いよ。俺は、ライト。でシゲが」
「センターかな?」
僕たちは休み時間の間、野球の話で盛り上がった。
しかし、この後に起こる、最悪の事態に気づく余地は無かった。
てか、僕エスパーじゃないし。

       

表紙

玖燦 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha