Neetel Inside 文芸新都
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真夏を通り過ぎたとはいえ、その日のイタリアは、残暑の厳しい昼だった。
グイード・ミスタは、そんな暑さに耐え切れず、近くの喫茶店へと逃れていた。
彼のテーブルの上には、一杯のアイスコーヒーと一皿のケーキ。氷の数は3つ。
エアコンの効いた店内での休憩を、全力で満喫していた。

「サボってる訳じゃあねぇ。人には休憩が必要なんだ。
 もうすぐお昼の時間だし、誰だってこれぐらいの休憩はとるさ」

誰に言うでもなく、彼はそう言い訳する。
カラカラと音を立ててアイスコーヒーを飲みながら、数日前に自分が受けた「指令」について思い出していた。

「敵対する組が、僕を殺すために、本格的に暗殺者を雇ったという噂がある。確かめてきてくれ。
 デマなら放っておけば良いが、もしそうだったら、躊躇するな」
「撃て」

これが、彼のボスから下された指令だった。
本来なら「幹部」であるミスタに、そのような偵察の仕事が回ってくるはずがない。
だからミスタは、この指令の意味を瞬時に理解した。他には回せないから、ミスタに命令したのだ。
つまり、暗殺者はほぼ確実に「いる」のである。
さらにいうならば、その暗殺者は普通の人間ではない。

「スタンド使い」

なのだ。
ミスタ以外の人間には任せられない。そう判断された上で、彼に指令が下ったのだった。

「やれやれだぜってか・・・」
そういうとミスタは、アイスコーヒーとケーキの代金を置き、その席を立った。
今のところ、全くと言って良いほど情報がない。
相手の組の名前と、暗殺者がスタンド使いだということだけである。
暑い日差しの中で、ミスタは大きく背伸びをすると、再び歩き出した。

       

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