Neetel Inside 文芸新都
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「おかぁさん…?」

ちよちゃんがお母さんを探しています。
二人で買い物にきて、迷子になってしまったのです。

「あっ、おかぁさん!」
お母さんを見つけたと思って、ちよちゃんは走りました。
けれど、近づいてよく見るとそれはお母さんではありませんでした。

「おかぁさぁん…」



「あら?ちよ?」
お母さんがふと気づくと、さっきまでいたはずのちよちゃんがとなりにいません。
「いつはぐれたのかしら…」
ふと目を離してしまった事に後悔しながら、お母さんはちよちゃんを探しました。
(ちよ、どこにいるの…?)
お店の中は人で溢れています。
お母さんは大きな声を出すのをためらいながら、きょろきょろとちよちゃんを探しています。
(どうしよう…)

…とんとん

その時、お母さんの肩を誰かが叩きました。
(え?)
お母さんが振り向くと、そこには人混みがあるだけです。
(気のせい…?あ!)
よく見ると、たくさんの人の中に、泣きそうな顔でお母さんを探すちよちゃんが見えました。
「ちよ!」
お母さんが呼ぶと、ちよちゃんは気づいてかけよってきました。
「おかぁさんまいごになっちゃだめでしょ!」
ちよちゃんは言いました。
「何言ってるのよ、ダメでしょ、ちゃんと一緒にいなきゃ!」
お母さんは怒りながらも、安心したように笑っていました。
かみさまも、笑うように、ちよちゃんの後ろにふわふわと浮かんでいました。

       

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