「どうしていつもそうなの?」
「今そんな事言ったって、仕方ないだろう。」
「仕方ないって事無いじゃない。」
いつも仲良しのお父さんとお母さんが、めずらしくケンカをしています。
ケンカといってもささいなもので、きっかけだってつまらないものです。
だけど、やっぱり、ちよちゃんは少しかなしい気持ちでした。
ちよちゃんは少しはなれた場所でテレビを見ています。
けれど内容はぜんぜん頭に入ってきませんでした。
(ふたりとも、こどもなんだから)
そう、ちよちゃんは思いました。
思ってから、ちょっとだけ笑いました。
かみさまは、そんなちよちゃんをじっと見ています。
それに気づいたちよちゃんは、かみさまの方をむくと、
(ねー)
と、小さな声で言いました。
それを聞いてか、かみさまはやめていた歌をうたい始めました。
それはやけに明るい歌でした。
かみさまの歌に合わせるように、テレビではただ楽しいだけの番組が流れています。
お父さんとお母さんは、いつの間にか笑って、ちよちゃんといっしょにテレビを見ていました。
ちよちゃんはまた、
(ふたりとも、こどもなんだから)
と、笑いました。