Neetel Inside 文芸新都
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「あめなめたいなぁ」
ちよちゃんがぽつりと呟きました。
かみさまはそんなちよちゃんを見るでもなく、ぷかぷかと浮かんでいます。
ふぅっと、ちよちゃんはため息をつきました。
そしておもむろに、部屋のすみに散らかったおもちゃを片付け始めました。
ぬいぐるみにビーズのネックレス、プラスチックの指輪をおもちゃ箱に詰めると、部屋はすっかりかたづきました。
「おっ、えらいな、ちよ。いつの間にかきれい好きになっちゃって。お母さんには似なかったのかな?」
お父さんです。
お父さんはまたえらいと言って、ちよちゃんの頭をなでました。
そして、
「あ、今のお母さんに言うなよ。」
と言って、小さなメロン味のあめ玉をくれました。
ちよちゃんは、
「ありがと」
と、お父さんにお礼をいいました。

そんなちよちゃんの後ろで、かみさまはまたおかしな歌をうたっています。
その歌声は、ふわりと空気に乗って、遠い誰かまで届きそうな、そんな歌声でした。

       

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