Neetel Inside 文芸新都
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ちよちゃんがお庭でにこにこしています。
ちよちゃんが毎日お水をあげて育てたお花が咲いたのです。
「良かったね、ちよ。きれいに咲いたわね。」
「うん」
ちよちゃんはにこにこしています。
次の日もその次の日も、ちよちゃんはお庭でにこにこしていました。
けれどそのまた数日後。
ちよちゃんがお庭にでると、大切なお花がうつむいています。
「おかぁさぁん」
「どうしたの?あら、お花元気なくなっちゃったのね。」
「おみずあげたらげんきになる?」
「うーん、どうかしら。もう咲いてからちょっと経つものねぇ。」
「かれちゃう?」
「そうねぇ…」
「おみずあげても?」
「しかたないわよ、ちよ。お花はいつか枯れちゃうの。だからせめて、いっぱいいっぱいお花を見ててあげなさい。」
「…うん、わかった」
そう言って、ちよちゃんはお花といっしょになってうつむいてしまいました。
「ずっと、かれなきゃいいのに…」
ちよちゃんが呟きました。
するとかみさまがすっとちよちゃんのそばによってきて、ぽんぽんとちよちゃんの肩を叩きました。
「なぁに?」
かみさまはちよちゃんの手をとると、おうちのなかに入りました。
「こっちいくの?」
かみさまはちよちゃんのお部屋にはいりました。
「おへや?」
そして、ちよちゃんのおもちゃばこの中から、おもちゃのお花を取り出して、ちよちゃんに渡しました。
「おはな?」
かみさまはほこりだらけのその花をぽんぽんと叩くと、すーっと窓のそばにいってしまいました。
ちよちゃんはかみさまが何を言いたいのかわからず、首をかしげました。
お庭では、お花が寂しくうつむいていました。

       

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