序章〜悲劇の幕開け〜

序章~悲劇の幕開け~

「このような計画でよろしいでしょうか?」
「異議なし」
全員の声が、会議室に響く。
「それでは、始めます」



「ぷはぁ……」
 俺は世界で唯一売られている「Innozenz Schritte」という人工水を飲みながら画面を見つめる。
 人工水ではなく天然水が飲みたいところだが、それはずいぶん前に涸れた。
 いつもと同じく俺は一日中ネットをしていた――2ちゃんねる。
 世界が電子化される前からあったサイトだ。
 そのとき、パソコンが遠隔操作され動画が再生された。
「突然ですが、政府からのお知らせです。先日の国際連合の会議で決定したことですが、全世界の社会非貢献者の皆様、これからあなた達をこの疑似世界『アース』から切断します」
 社会非貢献者……ニート、引きこもり、犯罪者、つまり俺たち社会の底辺の住人。
(おい、おい、いきなりなんだよ)
 いきなりだった。
 世界の終わりと思えるような大地震が起き、世界が闇に包まれた。



 視線に入ってきたのは、醜い自分の姿と汚れた世界。
 外観こそは元の世界に同じだがまるで遺跡のようだった。
 その周りを、今にも消えそうな白い煙が覆っている。
(何だ、何が起きたんだ?)
 辺りには切断された社会非貢献者いや同類らがいる。
 その瞬間、激しい耳鳴りがした。
 どうやら、その原因は目の前にある巨大なテレビらしい。
 耳鳴りが治まったとき、ノイズ混じりの音が流れた。
「皆様、お揃いですね。これから皆様にはこちらの世界で簡単なゲームをやってもらいます。ルールは簡単、こちらの世界で最後の一人になるまで殺しあってください。そして残った一人だけが再び電脳の世界へ戻ることができます。この世界にある、車、航空機、武器は自由に使っていただいて結構です。期限は一週間、それを過ぎると全員ゲームオーバー、つまり処刑します。それでは試合開始で――」
「ちょっと待てよ」
 言い終わる前に誰かが怒鳴った。
「何でしょうか?」
 さっきと同じ口調で質問する。
「一体ここは何なんだよ? 何だよ殺し合いって?」
 ここにいる奴らが思ってそうなことをテレビに向かって投げかける。
「少なくともここは『アース』ではありません。それと殺し合いは政府が決めたことです。これに従わなければ、今皆様を処刑したっていいのですよ」
 その言葉で、さっきまでまで威勢があった奴は黙ってしまった。
「改めまして、試合開始(ゲームスタート)です」
 鼓膜を破るような音が鳴り響き、ゲームが始まった。
「やれやれ、とんでもない1週間になりそうだな」