プロローグ
覚えているのは、吹雪の止むことの無い、廃墟の光景だけ。
その吹雪は、一年を通して止む事が無かった。
西暦2045年、人類は月面に第一の都市、『ファーストステップ』を建造した。
それは、人類にとって小さくて大きな一歩だった。
『ファーストステップ』を起点に、地球周辺の重力安定域『ラグランジュポイント』に
人類が生活する為の空間、スペースコロニーが建造された。人類は何処までも
行ける。そんな希望に満ちた宇宙時代の幕開けの筈だった。
西暦2157年、地球周辺の5つのラグランジュポイントに建造された5つの
スペースコロニーの内一つ、L5コロニーに隕石が直撃した。
隕石の衝突によって安定軌道から逸れたL5コロニーは、隕石もろとも地球へ
落下した。
巨大な質量の塊となったその物体は大西洋に落下し、沿岸各国は津波の被害を
受けた。物体の破片は大気中に巻き上げられ、地球は太陽の光の届かない星になった。
太陽の光の届かなくなった地球は、氷点下の気温を保ち続け、吹雪の止む事の
無い星へと変貌した。
そんな時代に、『エメラルドの都』を求めた者達が居た。