Neetel Inside 文芸新都
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新・拾遺集
恐怖の後藤さんち

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義兄妹である哲夫と大作は昨日まで今日の事をあんなに楽しみにしていたのに
今は威勢がない。兄は茫然自失と虚空を見上げ、妹はただ押し黙って目の前の
皿をじっと見つめていた。
二人はあれほどまでに憧れていた親戚の後藤さん宅に来ているのである。
しかし兄妹が口を塞ぎ、怯えながら座っているのは必然なのだ。
「○×*△@★◇・・・(カレーが出来たわよ。小さなお客さん達)」
後藤氏に2ヶ月前に嫁いで来たゲロポルチオ星人の光代さんが二人を呼んだ。
「・・・」
しばらくの沈黙の後、怖気づいて硬直している兄に変わって大作が言った。
「いりません。」
「うgdslkじゃうほjんじls(どうして?)」
正直に言えば二人はこの異星人を殺したい気持ちでいっぱいである。
それは宇宙人殺害シーンをビデオに収めNASAとかUMA番組にテープを送り
莫大な金を受け取りたいとかそう言った間接的欲望ではなく、
ただ、このふざけたうんたらかんたら星人に対する直接的な怒りによるものである。
二人は山盛りに盛り付けられたカレーとしての宇宙人のドス黒いうんこを一瞬見て
また各々の視線を元に戻した。
「bひきうghlsgyくぽk(どうして私の作った物を食べられないの!ゲリゲリウンk・・・)」
「光代。子供達が食べたくないといっているんだから無理に食べさせる必要もあるまい。」
頭の触手から良く分からない七色の光を出しながら必死になっているうんこ野郎を
後藤氏がなだめた。
「んぶいl@w(ダッテ・・・)」
光代はつづけて何か言いかけたが、後藤氏に背中の突起を触られると座り込んでしまった。
「ひぉいえそオブルミpそgはあお@」(やめて・・・こんな所でオブルミをいじらないで・・・)」
どうやら背中の突起はオブルミと言い、触られると恥ずかしいらしい
「はっはっは、子供達の前でそんな声を出すなんてお前もインランだな(笑)」
「rうぇ;いお5えsこy」@syy5(あっあっあぁぁ~うぅぅんっ・・・)」
そうしてこの人間と宇宙人のふれあいは5分ほど続いた。

触れ合いが終わった時には既に兄妹は後藤家からの脱出に成功していた。
「なぁ、大作、腹減ったろ。」
「うん、あたしなにかおいしいもの食べたい。」
「そうだな、じゃあ帰りにコンビニでカレーのお弁当買って帰ろうか。」

夏の、身もうんこもとろけて刹那に発酵しそうな、暑い日であった。

       

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