Neetel Inside ニートノベル
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何某の日常
気付いたときには遅い

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中嶋と知り合って数日。
俺は浅田に花見に誘われ、その場所に行く途中だった。
「その場所」とは名の通っている花見スポットなどではなく、近くの山の、「ひみつきち」がある場所だった。
雑木林の中に、ひときわ幹の太い木が一本。「ひみつきち」はその上に建っている。
近所の『南工具店』と言う工具店の爺さんが、小学6年生の時に建ててくれた物で、俺達が大きくなる度に改築を重ね、中学3年生の時に爺さんが死んでからも、そこをひみつの隠れ家として使っていた。
ロマンと言えば、ロマンあふれるものだったと思う。
その「ひみつきち」の傍には、2本の桜の木があり、そこで花見をしようというわけだ。
俺はそこで、ひとつの事件を思い出した――

       

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Neetsha