Neetel Inside ニートノベル
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何某の日常
何某の職員室:1

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職員室にて――
遅れた宿題の提出に急ぐ俺がその中で聞いた話。

「鹿を密猟したとして、39歳無職を逮捕」とあるニュースのアナウンス。

「野生の鹿を食ったって、食中毒が目に見えてるんですがねぇ」
生物担当、米田先生が言う。
「残虐極まりない、あんなかわいいのを撃つなんて」
反対側の席にいる女英語教師、柳先生は続ける。
「でも、鹿って食えたんですね、意外にも」
「ついで、カンガルーも食えるんですよ」
「はい?」
「カンガルーも食えるんですよ」
!?
そうだったのか。
今まで知らなかった。
いや、俺が無学なのか。
「信じられない。あんなの、食べれないです!」
「カンガルー肉は美味しいですよ!」
横から口を挟むのは、数学教師でうちの担任の、鳴海先生。
「それなら知ってますか?じゃあ、バッタとかミミズとかも食えるんですよ。知ってました?」
生物教師、恐るべし。
「っ……! じ、じゃあ言うけど、韓国には、エイをほっといただけの漬物があるって知って…」
「オンオフェですね。」
「!! そ…それじゃあ…」
「もうやめなよ、勝ち目ゼロだよ」
鳴海をなだめすかす柳。
まさに釈迦に説法。
米田先生には、歯が立たない。
「さっきから何の自慢大会をしているんだ君達は」
校長先生が入ってきた。
鳴海先生の表情が変わった。
「校長先生!世界一臭い食品は…」
「ああ、シュールストレミングだっけか? 一回取り寄せたけど、あれは食えたモンじゃないね」
成美先生は沈んだ。
そして、その沈んだ目が、俺を捕らえた。
え、俺?
「なぁ! 沢辺君ッ!」
え、やっぱり俺?
「君はッ……! 知っているか……ッ!」
……。
「君は……ッ! イヌイットの……!」
……まてよ?
ここである考えが浮かぶ。
そして、残酷にもそれを口に出してしまった。
「もや○もん読んでます?」
鳴海沈没。
にわかに得た知識を自慢しても、大体みんな知ってることが多いので、
あまり言いふらすものではなさそうだ。

       

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