Neetel Inside ニートノベル
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門から入ったC・E・P・Bのメンバーは延々と続く廊下を走り続けていた
「いいかげん長い!30分は走ってるぞ」
才堂が息を切らしながらそんなことを話すと、ようやく前に扉が見えてきた
「もうすぐだ、がんばれ」
「あともうちょっとだ、俺もきつい」
八朔と福斗目も続けて話す、前に出てきた扉を開け放ち勢いのまま前に出るとそこは体育館ほどの大きさのフロアだった、奥には、人が上るのは無理そうな段差があり、その上に3人の人影が見えてきた。
「よくぞココまで来た」
「ココから先は我ら」
「備讃地区三人集が相手だ」
その声の主をよく見ると、異様な格好をした禿げたオヤジどもだった、その3人は言葉を放ちきるとその影は上空へと浮いていった
「やつら、この先で待つ気か」
「ココで戦う気は無いようだな」
才堂と八朔が声を発している間に福斗目は先に先に進んでいた
「おいてくよー」
福斗目のその言葉と同時にドアが開く音が聞こえた、2人は急いでそこに向かい、そしてさらに前へと走り出していった
そして・・・また前にはドアが一つ、迷うことなく開けると、そこには頭頂部に髪が無く厚いメガネをかけている中年太りの男が一人座っていた。
「ようこそ、私が備讃地区三人集が一人、尾道雄大である」
「おまえがここ…まもっているのか」
「そ…だ、そしてお…えらをたおす……だ」
「たお…だと、おま……はそ……ことはで…や…ない」
「なら…って…るか」
「じ………うだ、か…ってこい」
「では、…んき………せて……い……よ」
「うおおおおおおお…お……おお…おおおお……お…………」



ゆらゆらゆらゆらゆら・・・
「………う…」
ゆらゆらゆらゆらゆら・・・
「……どう……」
ゆらゆらゆらゆらゆら・・・
「さいどうくん…」
ゆらゆらゆらゆらゆら・・・
「才堂君」

ゆらゆらと体を揺られ、目覚めたのは、見慣れた学校の教室だった、時計を見ると9時、ちょうど変える時間だった。
文乃島高等学校定時制3年 才堂 
めんどくさがりで、授業中に居眠りは当然である
それを揺り動かしていたのは、黒い髪をなびかせ、目を見ただけで吸い込まれてしまいそうなほど綺麗な女の子だった
「今日は2時間目から放課後までずっと寝てたね、記録更新しちゃったよ?」
同じく文乃島高等学校定時制3年 福斗目
性格は優しくて、常に才堂のそばにいる
「あぁ、そんな寝てたんだ、俺」
「そんなに寝てたんだよ、君」
才堂の言葉に笑いながら返す福斗目、いつもの光景である
「いょぅ、あれ、お邪魔だったか?」
そんな言葉とともに現れたのは昔からの悪友だった
同じく文乃島高等学校定時制3年 八朔
授業にはあまり出ず、いつものらりくらりとしている、頭が切れいつも頼りにされる存在
「二人ともいるつーことは…今日は才堂宅でお泊りコースですかなぁ?」
八朔がそんなことを言うと、二人の顔が真っ赤になる
「あら、図星だったのね」
「るっせぇ、いいじゃねぇかよべつによぅ」
八朔が笑いながらしゃべると才堂が顔を赤く染め怒鳴る、これもいつもの光景だ
「はいはい、それではお邪魔虫は退散しますか」
そういうと、ゆったりとした動きで教室を出て行った、残された残された才堂と福斗目は少しの沈黙の後席を立った
「帰るか…」
「うん…」

・・・・・・・・・・・・

「家ついたら何する?」
「…テトリス」
「またかよ!」
「えへへ…だって好きなんだもん」
「ったく、しゃーねぇなぁ」
「ねぇ、才堂君」
「…名前で呼べ」
「…まだちょっとはずかしぃよぅ」
「まだいえないか、まぁ気長に待つか、で、なんだ」
「あ、うん…」
(ありがと)
「ん?なんか言ったか」
「いや、なんでもないなんでもないよ」
「?そうか」
「あの・・・さ、どんな夢見てたのかなぁって思っただけなんだ」
「ん?あぁ、なんか言ってた?俺」
「いや、そうじゃないんだけど…寝顔が良かったから…ね」
「んー、長くなるから家に帰ってからな」
「そっか」
「ん」
「ねぇ」
「ん」
「大好きだよ」

       

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