Neetel Inside 文芸新都
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ダブンシツーレイ
文学戦争勃発

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 小説なんぞ糞食らえ! なんて2ヶ月前まで思っていた。
 糞つまんない小説に出会いすぎたためだ。ここで指す糞つまんない小説というものは、ストーリーが矛盾するものである。
 というのも、別に私みたいなアマチュアが書く文章にうまさなど求めたところで、たかが知れている。
見るべきところは、文章ではない。ストーリーだ! 
 そんな考えを持つ私は、それはそれは読みにくい小説を読破していった。次第にたまっていく鬱憤は晴らしようがない。
作者をぶん殴ってやりたい作品もいくつかあった。そして、ある日私は気がついた。
 結局のところ、文章がうまい作品はストーリーもうまく、下手な作品はストーリーも下手なのだ。
 糞つまんない小説に費やした時間はかえってこず、私の鬱憤はひどく歪み、一部どころか小説そのものにぶつけてしまった。
 小説なんぞ糞食らえ! 

 一ヶ月後、良い小説に囲まれた私は、小説はすばらいしい、人生だと悟った。
そして、その小説への思いは、またもやひどく歪み始めた。
 すばらしい小説を汚すのはどこのどいつだ。糞つまんない小説書くアマチュアめ!
 私は、どうしてそんな矛盾したストーリーを公に出せるのか、すごく問いただしてみたくなった。
 「ねぇ、どんな思いでこのストーリー書いたの? ねぇ? ねぇ?」
 「ここ見て、うん、矛盾してるの。 なんで書いたのかな? ねぇ?」
 聞き出したあとは、バチーんと思いっきりビンタして、ゴキブリを食わせてやりたい。いや、やっぱ糞を。

 それまた、一ヵ月後、つまり今。友人と小説はどっちの方がうまいのか勝負した時だ。私は絶望した。なんのことはない、糞を食うべきアマチュアはここにいたのだ!ああぁ、愚かな道家よ、情けない。私のプライドはずたぼろの牛乳がしみた雑巾のごとく。
 そこで、私は自分のプライドを取り戻すため、友人にある提案をした。
 「おもしろい長編は確かに書けない。だが、私には短編というものがある。それで君をあっと言わせてやろう」と。
 友人は、すっと人差し指を上げ、にやっと口を歪ませがら、ゆっくりと言った。
 「わかった。ただし、1ヶ月だ。1ヶ月以内に僕にあっと言わせなかったら、約束どおり・・・」
 「あぁ、美樹ちゃんは諦める。」
 大好きな美樹ちゃんを諦められるのか?自問したところで、返ってくる答えなどありはせず。私はやるしかなかった。
 「ふふふ、そっちから言い出した約束だ、きっちり守れよ?」
 なんてつまらない約束をしてしまったのか。過去の根拠のない自信は今の私を背水にさせた。
あんな男に渡してたまるか! 小説家として、女に恋する男として、私の戦いは始まったのだ。



  残り、1ヶ月。

       

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