プロローグ
月曜日の放課後、校舎の外庭に、黒のノートが落ちている。
この学校の生徒である知的な顔立ちの生徒は、それを拾い上げようとするが、彼の背後を歩いている、林野朝(はやしのあさ)の視線に気付き、拾うのはやめることにした。
林野朝は、彼がノートを拾わなかったのを不思議に思った。
彼のノートではなかったのか。
朝は、彼に声を掛けたが、無視を決め込んでいるのか、そのまま行ってしまった。
黒ノートの表紙には、なにやら英語が書いてある。
「なにこれ、『であすのて』?」
彼女は英語が読めなかった。
ちょうど姉のノートが切れていたところだ。
朝はこのノートを、姉である林野昼(はやしのひる)にあげる事にした。