Neetel Inside 文芸新都
表紙

「一枚絵文章化企画」会場
「クレヨン」藤子・G・不二子

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☆ ☆ ☆ 

 ララのクレヨン、まほうのクレヨン。
 甘いものがたべたいなぁ。そうだそうだ。苺のケーキを描きましょう。
 大きな苺。たっぷりクリーム。今日はおまけのチョコレートプレート。
 ぐらぐら線が動きだし、あまーい香りがしてきたぞ。どうかな、どうかな。ララのクレヨン。
 画用紙いっぱい。食いしん坊。苺のケーキが完成だ。
 フォークを描いて、いただきます。
 ララのクレヨン、まほうのクレヨン。描けばなんでも夢叶う。

 ☆

 ある日、みつけた小さなお店。路地裏にあった、小さなお店。
 パパは買い物つまんない。ママはお喋りつまんない。
 大きな猫さん追いかけて、ララが見つけた小さなお店。
 ガラスケースに、きれいなクレヨン。
 あか、あお、きいろ。みどりにぴんくに、くーろ。
「こんにちは。おじょうちゃん」
 銀ぶちメガネのおじいさん。ニコニコ笑顔で手招いた。
 お店はまるで、夢世界。空の色した天井に、ふわふわ雲が浮いてたよ。
「みんな、クレヨンで描いたのさ」
 ララも一緒にお絵かきしたよ。
 ぴかぴか光る、宇宙船。壁から飛び出てびびびびび。
 ながーい手をした猫さんも、お口を開けて、にゃあにゃあにゃあ。
 おじいさんのお星さま。ララの手に落ち、こんぺいとう。
「お絵かき好きかい? おじょうちゃん」
 ニコニコ笑顔のおじいさん。「クレヨンひとつ、あげましょう」

 ☆

 ララのクレヨン、まほうのクレヨン。
 学校からの帰り道。甘いものが食べたいなぁ。でもでも、クレヨン、あと少し。
 ララが見つけたリボンの子。えんえん泣いてる女の子。
「おかあさんと、はぐれたの」
 ララはニコニコ笑ったよ。
「おねえちゃんに、まかせなさい」
 小さなクレヨン取り出して、大きな大きな、まーるい風船。
 ぐらぐら線が動き出し、ぷくぷく風船ふくらんだ。最後の仕上げに似顔絵だ。可愛いリボンが目印だ。
 大きな風船飛んでいく。お空に浮かんだ女の子。なんだなんだと人だかり。みんな、こっちを見ていたよ。
「あ、おかあさん!」
 リボンの可愛い女の子。お母さんに会えたみたい。
 ララのクレヨン、なくなった。かわりにケーキをもらったよ。苺が乗った、あまーい香り。
 ニコニコ笑顔の女の子。お母さんと一緒、嬉しそう。ばいばい手を振りお別れだ。よかったよかった。よかったね。
 ララのクレヨン、まほうのクレヨン。描けばなんでも夢叶う。

☆ ☆ ☆

       

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