――後7七桂――
瞬間、盤に打ち付けられた桂馬がフツと透明な音を鳴らした。
 響の背筋に冷たい物が走った。棋士としての読みではなく、動物としての本能・直感が危険を訴えてくる。
 同桂と跳ねては7五の歩を自ら招き入れるようなもの、同金と取ることは5九の角が当たっており却って危険が増すだけ、であれば角を払う以外に無いが、こちらの飛車が6筋を離れれば同時に馬が殺され相手の飛車を自由にしてしまう。
 どう受けても局面は圧倒的不利を免れない。