ならば、と、角を切って応じてやるのが、本来の姿なのかも知れない。自ら泥を被った誇り高き王者にせめてもの情けをかけるべきか知れない。
 しかし響は、一切の躊躇いを見せなかった。
 ――後4六銀――
 優勢に立ったのなら最も確実な方法で絞め殺せばいい。万に一つであろうとも、8七歩成と必死をかけた後の手に読み抜けがある訳にはいかないのだから、情けで自らの指し手を曲げるなど愚の骨頂。
 6六玉と逃げるのは6九角成同金から7六銀成以下の詰み。
 馬を寄越せ、それで今度こそお前の指す手は無い。この先一切の希望を刈り取ってやる。