ここまで進めば、後手が間違えない限り、もはや先手に勝ちはない。そしてこの局面は、響が間違えるような局面ではない。
「言ったろうが……今、楽しいんだよ。最後まで相手しろ」
 響の心中を察したか、二階堂が背を押すように言う。
「わかりました」
 年寄りと侮る必要はない。いつもの通り、遠慮無く叩き潰そうと覚悟を決めた。
――先3二銀、後同金、先同成桂、後同玉、先3三歩、後2三玉、先2四歩、後同玉、先1五角、後3五玉、先2六金、後3四玉、先3五銀、後2三玉、先2四歩、後1四玉――
 以て一二〇手、先手・二階堂秀行投了。