熱気のせいか赤みがかっていた佐々木の表情が徐々に色を失っていく様が、間近に見ていた香子には良く解った。盤上は十兵衛が優勢なのかもしれない。十兵衛が駒台から拾い上げた駒を盤上に打ち付けると、佐々木は顔を上げて十兵衛を睨みつけた。
 ―― 後6一飛、先7四馬 ――